今月の注目雑誌記事

ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 6月号

Feature Articles 顧客満足の戦略シナリオ

「顧 客は『あなたを満足させます』という制約を購入している。今回の特集の冒頭において、マーケティング論の大家であるセオドア・レビットのこの言葉が引用さ れている。今回の特集においてはこの言葉を中心にこれまでの顧客戦略を見直し、さらに効果的な顧客満足を獲得する施策をテーマとしている。 以下にその内容を簡単に紹介する。

顧客ロイヤルティを測る究極の質問

フレデリック・F・ライクヘルド

こ れまでの顧客満足調査は現場になかなか浸透しないというデメリットがあった。本稿ではある一つの質問をすることによって顧客ロイヤルティを測定するとい う。この方法のメリットは単純なことに加え、その質問の内容が改善の方向を示唆するためその結果を現場にフィードバックしやすいことにある。詳しくは本文 をごらん頂きたい。

リーン生産方式でサービス企業は甦る

シンシア・カレン・スワンク

本稿はリーン生産方式( -=トヨタ生産方式)を金融サービス業に応用して生産性をあげることを明らかにすることを主張する。ケーススタディを中心に、リーン生産方式を導入するメリットと導入する方法について述べられており、金融サービス業以外の業種にも応用できると考えられる。

賢い顧客を逃がさないチャネル戦略

 ポール・F・ヌーンズ フランク・V・セスペデス

な ぜチャネル戦略なのか、近年消費者は特定のチャネルにとどまることがなくなっているからだ。本稿では実際の購買行動を検証しなおし、新たなチャネル戦略の 再構築を考察している。近年インターネットなどの新しいチャネルも登場しており、これからのチャネル戦略を考える上で重要な示唆を与えてくれる。

サービスの100%保証システム

 クリストファー・W・L・ハート

本 稿のテーマは「サービスを完全保証することによって、高い満足と収益性を得ることが出来る」というものである。これには異を唱える人も多いだろう。本稿で は米国の害虫駆除会社のケースを中心に、いかにサービスの完全保証が顧客満足と高い収益性を生むかを論じている。極論と感じるかもしれないが一考の余地は あるのではないだろうか。

顧客戦略:6つの知

ここでは、多くの業界について最大公約数になるであろう課題についての小論を紹介している。

サウスウエスト航空:人間関係に投資する経営 ジョディー・ホッファーギッテル

社内の人間関係に投資することにより、顧客ロイヤルティの醸成に成功したサウスウエスト航空のエクゼクティブメンバーへのインタビュー。

イケア:顧客とのコラボレーション ジェイソン・マジソン他

製品開発に顧客の意見を取り入れることに成功した企業のケーススタディ。

「待ち時間」のバリュープロモーション クリストファー・メイヤー

いかに待ち時間の減少が競争優位を生み出すのかについて簡潔に述べられている。

コールセンターが顧客満足を左右する ライオ・アルシー

コールセンターの重要性を説き、本社にコールセンターを置くメリットについて解説している。

「顧客のデジタル化」の憂鬱:テクノロジーか人間性か カール・アルブレヒト

近年ITの発達によりコストをかけずにCRMを行う企業が増えている。筆者はこのITの導入による「副作用」について注目し、そのデメリットについて論じている。

ビジネスモデルよりもマーケティング ノーラ・アウフレイター他

経営に失敗したネット企業と成功した企業の差は何であるのか。筆者はトップ企業について調査し、その理由のひとつに適時適応のマーケティングをあげている。本稿はそれをいかに行っていくかを中心に、ネット企業のおけるマーケティングの重要性について述べている。

マルチブランドが顧客を惑わす

 ニルマルヤ・クマー

多 くの企業において利益の大半を稼ぎ出すのは、自社ブランドのうちでも少数のブランドである。それにもかかわらずブランド・ポートフォリオは見直され無いま まになっている。本稿ではブランド・ポートフォリオを見直し、コストを減少させることが自社のみならず顧客にとって有益であることを主張している。

全面施行まであと一年!個人情報保護法に備える 現場の意識付けがカギ 日経情報ストラテジー  6月号

既に一部施行されている個人情報保護法であるが、企業の義務などを規定した部分は 2005 年4月1日から施行される。また最近の個人情報漏洩が頻発している現状からも、この全面施行に際してもう一度個人情報の保護について見直していこうという 機運が高まっている。ここでもう一度、個人情報を守るためにいかなる努力が必要なのか、その具体的な対策について様々な企業が行っている対策を見てゆくこ とから考えてみたい。

本記事では 3 つの視点から、企業の個人情報保護に実効性を持たせるためのポイントを10点挙げている。まず、ルールを作るという視点から、1)個人情報を取得するため の社内の手続きを厳格化する、2)ルールは現場に即した具体的なものにする、3)委託先にも一歩踏み込んで対策を促すという点が挙げられている。すなわ ち、現場が守れるような決まりを作り、それを厳格に運用するということになる。そしてその範囲を自社だけでなく委託先にも広げることが肝心であるというこ とである。そのためには具体的な施策は現場で行うのが良いであろうとしている。次に運用面で補強するという視点から、4)データベースの使用は制限しアク セス履歴を取る、5)取得する個人情報は必要最小限にとどめる、6)発生から廃棄まで、情報の流れをもれなく管理するという点が挙げられている。言うなれ ば、個人情報を厳格に管理するために情報の流れを制限し、トレーサビリティを高めるということである。また、いざという時に備えて保持する情報を最小限に とどめようという配慮も含まれている。最後に意識を定着させるという視点から、7)トップダウンで社内の雰囲気を作る、8)定期的に内部監査を実施する、 9)現場で必要な「小道具」はきちんと用意する、10)研修では事前に題材を自分に置き換えて考えさせるという点が挙げられている。もちろん、個人情報保 護のための環境作りは必要だが、それを確実なものとするために個々人の意識に対して個人情報保護に重要性を植えつけることこそ重要である。そのための具体 的な環境作りは必須なものとして考えねばならないと言うことであろう。

具体的にどのような施策が行われているかについてはここでは触れないので、本記事を参照していただきたいと思う。最近の不祥事の頻発を受けて、改めて個人情報保護に重要性を感じたのでここに掲載した。

これまでの注目雑誌記事

2004年6月

原因はこれだ!個人情報“大流出”の秘密 WEDGE 5月号

日経情報ストラテジーでは制度面、環境面から個人情報保護について考えたが、こちらはもう少し泥臭い面から最近頻発している個人情報の漏洩について考察している。

本 記事では再び個人情報が漏洩する可能性が高いと警告している。その理由として特定の企業が採用している低価格戦略と、低価格でも高価格と同様のサービスを 求める日本人の特性を上げている。まず前者についての考察についてであるが、まずその要因として現在の日本の経済状況から出発する。それはこの経済状況か ら、“度を越した低価格路線”を採用する企業が増え、個人情報保護に対しての投資が不十分にならざるを得ないというのである。ではどの部分に投資すればよ いと言うのであろうか、本記事では人材マネジメントに焦点をあてている。その理由として挙げられているのが情報漏洩の大半が内部からの持ち出しが原因であ るということからである(筆者注:本記事には具体的な資料は挙げられていない)。内部の人間がリスクを犯して内部情報を持ち出すには様々な理由があるであ ろう、個人情報を管理するためにはそのような部分まで管理する必要があると本記事では述べている。当然それを行うためには相応のコストがかかるが、低価格 戦略を採用した企業にはそのコストは負担できず情報の漏洩が起きてしまうリスクが高まるというのである。それは日本人の特性という観点から考察されてい る。日本の消費者は欧米と異なり、「安かろう、悪かろう」ということを理解できていない人が多いということである。低価格でも高価格と同様のサービスを求 めるため、個人情報保護のためのコスト負担を嫌う。そのうえ低価格のサービスに対しても顧客の利益が守られているのは当然と考えているというのである。そ の結果、個人情報保護のコストをあまり負担しない企業に需要が集まり漏洩のリスクが上昇するといった悪循環が起こっているというのである。

日本人消費者論など細かいところで首を傾げてしまうようなところもあるが、この考察に関しては同意する面が多い。このような人材マネジメントの観点からも個人情報保護について考えることは必要であると考える。


2004年5月

履歴分析で顧客をつかむ 日経情報ストラテジー  5月号

電子メールによるマーケティングについては、これまでも様々な試みがなされてきた。しかし、近年、メールの配信量の増加、 SPAMメールなどの問題もあり、その効果は以前に想像されていたものとは異なって来ている。

本記事では様々なデザインが出来る HTMLメールに注目し、HTMLメールならではの機能を用いたマーケティングについて述べている。

HTML メールの長所はその表現力にあるが、本記事ではその表現力から来る追跡可能性に注目している。HTMLは通常日常Webブラウザでみている我々が「ホーム ページ」と呼んでいるWebサイトの記述に使われる。そして、そこに現れる画像は必要に応じてWebサーバーから呼び出されている。本記事ではここに着目 している。つまりHTMLで記述されたメールを表示させる場合、画像はサーバーから呼び出され、メーラーに送られる。これを利用することによりメールを受 信した人がメールを見たかどうかが分かる。そうして得られた履歴を活用し、基本データ、アンケートデータと組み合わせることにより、到達・開封履歴と購買 履歴の関連について検証することが可能となるのである。

ここで、 2 つの問題がある。一つはHTMLメールにはウイルスが入り込みやすいという欠点が存在しているという事である。それに付随して第2の問題が発生する。この ウイルスへの感染しやすさに他の要因も加わってHTMLメール自体が敬遠されがちなのである。しかしながら本記事によるとテキストメールよりもHTML メールのほうが購買率が高く、また発信したい情報についてのリンクに対するクリック率も高かったという。この点を勘案するならHTMLメールを用いる意義 について検討する余地もあるだろう。

こうした効果についてはまだ検討の余地はあるかもしれない。しかしこれからの HTMLメールに関しては注目してゆく必要があるだろう。


2004年4月

RFMでわかった都市型・郊外型店舗における顧客動向の違い 月間コンピュートピア 3月号

京王百貨店は 2003 年の10月に新しい顧客情報システムを導入した。この最新の顧客情報システムは、1)日次の情報が利用できる、2)商品単位での分析が可能になるように改 善された。これにより以前のシステムより詳細な分析が可能となった。セキュリティの面においては顧客の個人情報のような詳細なデータを見られる社員を限定 することにより対処している。また、百貨店の情報システムらしく情報の中にブランドのコードが入っておりブランドごとの分析が可能となっている。

このシステムによってRFM(R:recency ,F:frequency,M:monetary) のうちRとMをもちいてダイレクトメールのレスポンスを検証したところ。Mの高い顧客よりも、Rの短い顧客の方のレスポンスが高いことを発見した。これに より販促活動に役に立つことが分かった。これからもFの面から見るなどさらなる検証を続けていくつもりだという。

ま た、販促活動の結果を検証した際、都市型の店舗でカード会員の売上構成比が下がり郊外型の店舗ではカード会員の売上構成比が上がるという結果が得られた。 これにより新しい顧客情報システムを活用することにより店舗ごとの購買傾向を把握することが出来たため、店舗によって販促活動を変えていくようにするとい う。

最強のポイントカード活用術 日経情報ストラテジー  4月号

FSPについてはその効用を疑問視する声も上がっており、撤退する企業についての報告も聞かれるようになった。しかしその活用よって、十分有用であることをこの記事は伝えている。

北海道ではセイコーマートがコンビニエンスストアでは初めてポイント制のFSPを導入した。これに対抗してセブンイレブンジャパンでは北海道限定でポイント制のFSP導入を決定した。セイコーマートではFSPで得られた情報から 30代から40代の女性、60代の顧客の動向を把握し、生鮮食品を充実させることやNBと異なるタイプのPBを開発することにより他との差別化を図っている。

アップルマートでは競合の出店に対して上位顧客に対してダイレクトメールを送付することにより、出店の影響を押さえることに成功した。また同社ではアンケート を実施することにより顧客が求めている商品を把握し、他店に先駆けてその商品を導入することにより他店との差別化に成功している。

ディスカウントストアのププレひまわりではあるカテゴリーの商品を購買する顧客の動向を把握することにより利益の最大化を図っている。たとえば、ベビー用品を 買う顧客の購買行動が1店で多様なカテゴリーを購買することを発見し、当該顧客の購買頻度を上げるための施策を実施することにより売上・利益の増加に成功 している。

このように、FSPをポイントによる顧客誘導ではなく情報を得るためのツールとすることによって、また、その情報を有効に活用することによって成功している 事例は多くある。FSPを導入したが思うように効果が上がらないという方にとってこれらの事例はとても参考になるであろう。


2004年3月

三越 店頭の「お得意様営業」を推進 日経情報ストラテジー  2月号

以前にも紹介した記事の続報である。前回は超優良顧客である富裕層のマネジメントがテーマであったが、今回のテーマは百貨店において一般顧客をいかにマネジメントしていくかがテーマとなっている。

三越では、新しい政策として「おもてなしサイクル」を立案した。これは「ITを活用しながら、前期の売上などで顧客を 5 段 階程度に把握し、その増減をウォッチしながら接客を強化」「『現状把握→課題抽出→実行』という一連のサイクルを繰り返す取り組み」である。具体的には売 上データから顧客それぞれの売上の増減を把握し、それに対して現場単位で課題を抽出、対策を立てて接客を改善するというものである。このために従来はお客 様の「お世話係」であった「ショップマスター」のの権限を大きくし、ショップマスター単位で売り場の戦略を立てていくようにした。また、売上も「顧客 数」、「購入頻度」、「客一人当たり点数」、「一点あたりの平均単価」の 4 因子によって把握し、それぞれ似たいしての戦略を考えられるようにした。

CRMについての一般的な論議は一応、ある程度の円熟を迎えているように思う。しかしながらその具体的な方法論についてはまだ円熟を迎えているとはいえないであろう。そのためには当該の業種・業態でCRMの応用の事例を学んでいく必要があるのではないだろうか。


2004年2月

UFJ 銀行  24 時間営業で個人客「 100 万人獲得」日経情報ストラテジー  2 月号

金融業はサービス業である。特にリテール部門においてそれは顕著になる。しかしこれまでは護送船団方式と揶揄されていたように、各行間で明確なサービスの違いが明らかになっていなかった。しかし、その傾向に変化が現れ始めている。その先進的なケースとして UFJ 銀行の 24 時間 ATM サービスの顧客接点改革プロジェクト、通称「 UFJ24 」があげられる。

これまでも 24 時間営業自体は 1999 年から行われておりそれ自体は取り立てて注目すべき点ではない。その先進性はその規模とシステムにある。 UFJ 銀行は旧三和銀行時代から主要駅の近くに多くの ATM を設置してきた。その利点を強化する形で「 UFJ24 」は立案されている。その大きな特徴は顧客接点とシステムにある。「 UFJ24 」における顧客接点は様々である。 24 時間営業の ATM 、 24 時間有人対応のコールセンター、テレビ電話窓口、遅い時間まで空いている窓口 ( 午後 8 時まで ) 、電話・携帯電話・インターネットにおいて 24 時間対応する UFJ ダイレクトがそうである。これらを総合口座の利用顧客接点として開放する。システム面においては災害対策を応用し、一日に一回処理をとめなければならないシステムを 365 日 24 時間営業に対応するようにした。

金 融、特に銀行は心臓にたとえられるように我々の生活に深くかかわっている。そのサービスを我々顧客にいかに便利な形で提供するかがこれからの銀行のリテー ル部門において重要な課題となってくるだろう。これに習い他行も様々なサービスの改善を打ち出してくるものと予想される。これからも各行の CRM 政策に注目していきたい。

顧客のクレームが満足に変わる時 東洋経済 2003年12 月 13 日号

どのような業態・業種においても、またいかなる努力をしようとも顧客からのクレームから逃れられる企業は存在しない。特に顧客接点が発達・多様化し、顧客の持つ情報源が多様化した今日において、その対策は企業の生死を分かつ重要なファクターとなっている。

本記事はクレームに関する消費者への調査を行い、クレームが起こる状況とその原因について推測することから始まっている。本記事においてまず注目されているのはその不満の多さである。有効回答中、 65 %の回答者が購入した商品・サービスについて不満があった経験があったとしている。そしてその中で企業に問い合わせたのは 78.8 % で不満を持った顧客の多くがその不満に対して企業に何らかのアプローチをしている(調査はマクロミル、すなわちインターネットで行われており、その点は考 慮すべき点ではある)。そして、ケースの照会へと続いている。本記事では多くのケースが紹介されているが、その中で重要とされているのが対応の早さ、ク レームに対するポリシー、対応するためのシステム(組織・体制を含む)である。

対応の早さでは道具立てが重要なカギとなる。これは、 IT の発達によりコールセンター、 E メー ル等を利用することにより実現している企業が多い。クレームに対するポリシーで重要なのは、いつまでに対応を終了させるか、いかに不満を解消するかという ことを決めた約束事の明文化である。もちろん、単純なマニュアル化では対応しきれないものも多いためエンパワーメントも重要なファクターとなっている。対 応するためのシステムにおいて重要なのは、クレームに対応する部署の一元化である。もちろん PC 等専門的な知識を要求される商品・サービスも少なくないが、クレームの情報の流れをコントロールする部署を特定しておくことにより対応がスムーズに、また決め細やかになる。その上その情報を整理・蓄積することにより、より多くの顧客満足を得ることが可能となる。

も ちろんクレームをつけてくる顧客の中には、いわゆる「クレージー・クレーマー」、すなわち無理難題を吹っかけてそこから利益を得ようとする悪質なものもあ る。しかし、それはごく少数であり、一見「クレージー・クレーマー」と感じるような顧客でも、対応次第で信頼を勝ち得ることは可能である。クレームを満足 に代えられるケースはごく少数といってもよいかも知れない。しかし、生じてしまったリスクを最小限に抑える努力は代々元なされなければならないだろう。本 記事はそのよい示唆を与えてくれている。


2004年1月

間違いだらけの顧客満足度 日経情報ストラテジー 1月号

多 くの企業において、自社の提供する製品・サービスにどれだけの顧客が満足してくれているのだろうかということは重要な問題である。しかし、クレーム処理や アンケートなどで情報を収集したとしてもそれは一部の顧客の、一部の情報にしか過ぎないことが多いことも事実である。顧客の満足度を重要と考えている企業 であれば現状の顧客満足度の把握が決して十分ではないことは承知しているであろう。しかし、それをどのように改善していくのがよいのかを把握している企業 も多くないであろう。

本 記事はアメリカンファミリー生命保険、ジーンズメイト、はとバスの顧客の満足度に対する取り組みを紹介している。そこから得られている示唆は、満足度の要 因の変化、店頭での具体的かつ詳細な顧客満足度要員の把握の重要性、選択回答から自由回答へのアンケートの見直しなどがある。この3点に共通しているの は、顧客からの定量的な評価だけではなくその背景にある具体的な要因への着目が満足度の向上への重要なファクターとなっていることである。

以 上の観点から本記事が提案しているのは顧客の期待を見極めることの重要性である。その一例としてソフトブレーンの宋文州会長のこのような言葉が本記事に紹 介されている、「個別の回答を見れば、当社の製品を高度に使いこなそうとしているユーザーほど厳しめの評価を下し、使い込んでないユーザーは高めの評価を 下す傾向が明確に見て取れた」。

そ して、顧客の期待を見極めるために管理すべき情報として1)「顧客は何に不満を抱くのか」、2)「どんなときに顧客の期待を上回って感動を引き出せた か」、3)「顧客に対してどういった企業でありたいのか」をあげている。さらに「顧客の『不満感応度』に注目せよ」という趣旨の寄稿も掲載されており、こ ちらも興味深い。

顧客満足度に関する情報を収集し対策を立てたにもかかわらず、効果が上がっていないと考えている企業も少なくない。本記事の示唆はそのような悩みに対して、顧客の満足度そのものを考え直し、顧客の満足度を向上させる際の重要なヒントになるのではないかと考える。


2003年12月

失敗しないポイントカード活用術 優良顧客維持策を用意せよ 日経情報ストラテジー 12月号

これまでもこの雑誌記事紹介では FSP ( Frequent-Shoppers-Program )に関する記事を取り上げてきた。本記事はそれらの内容をほぼ全体的に網羅し、最新の事情を含めて分かりやすく解説したという位置づけに当たるものである。

まずポイントカードについて、従来の値引きの延長上で考えられ導入されるポイントカードと FSP 型のポイントカードの比較を行っている。その上で FSP の本質は「優良顧客の育成、維持、拡大」であるとし、その目的を「顧客情報の収集である」としている。そして、 1 )会員・非会員の差別化、2)会員間での差別化、3)顧客カテゴリー分析、4)ワン・トゥー・ワン・マーケティング、というブライアン・ P ・ウルフ氏の提言を紹介している。

多くの企業がポイントカードを導入しようとしている一方、ポイントカードを中止する企業も増えている。ここでもう一度ポイントカードをいかに有効活用するのかについて、本記事はとても参考になるのではないか。


2003年11月

間違いだらけのポイントカード ユニクロの失敗に学べ 日経情報ストラテジー 8月号

顧客向けの「ポイント・カード・サービス」を中止する企業が増えている。ユニクロを運営するファーストリテイリングは 2002 年の 9 月にポイントカードを廃止した。カードを維持する費用が経営を圧迫しかねないと判断したためだ。他の「ポイント・カード・サービス」を中止した企業においても、その費用対効果を理由に挙げる企業は多い。

企業がポイントカードを導入する理由の多くは「顧客の囲い込み」にある。しかしながら、一人当たりが所有するポイントカードの枚数は 7.7 枚(矢野経済研究所:記事より)と多く、付与するポイントが来店の決め手になりづらい状況にある。

そ の一方で、「ポイント・カード・サービス」をやめるにやめられない企業も多く存在する。すなわち還元率を売りにする競合他店との兼ね合いからやめることが 出来ないという理由からである。「ポイント・カード・サービス」を中止した企業の中にも、他の方法で集客に成功した企業も存在する。ファーストキッチンで はポイントカードから携帯電話を利用したクーポンの発行に切り替えることにより集客の効率化に効果を挙げた。

ポイント・カード・サービスは多く存在する CRM のツールの一つである。もし自社の提供する商品やサービスに合わないという理由から効果が望めないのであれば、それらにあった方法に切り替えてゆくことも考えなければならないであろう。

「ライフスタイル」に迫れ 顧客情報の再生術 日経情報ストラテジー  10 月号

こ れまでも商品開発や販促に生かそうとして多くの企業が顧客情報を集めてきた。しかし顧客属性や購買履歴など、データに裏打ちされた販促を実施したものの期 待通りの効果が得られていないと感じている企業も少なくない。これらの企業の多くに欠けているのは顧客の心理に深くかかわるライフスタイルや価値観などの 情報、すなわち消費行動を起こすきっかけとなる情報である。

JTB では既存の顧客情報をコーホート分析(世代の分析|年代:年齢、世代:生まれ年)し、世代間の違いに着目した販促を行った。 JCB ではライフスタイルに基づいた顧客分析を行うためのベータベースを構築した。これにより顧客を従来とは異なる切り口で分析でき、従来とは異なる切り口で商品の訴求を行えるようになった。コーセーでは 10 年 以上前から化粧品に対する意識や化粧品の購買実態について同じアンケート調査を続けている。そしてこのデータベースを利用した商品開発を行い実績に結び付 けている。ネスレジャパンでは会員組織をつくり、オペレーションセンターを通じて得られた情報を基に販促計画を作成している。

顧 客情報を蓄積しても生かせない理由のひとつに「なぜ、顧客がその行動をとったのか」という視点が欠けていることがあげられる。それを避けるためには商品を 軸とした分析だけではなく、人を軸にした分析が必要となってくる。そのためには、1)本音を引き出し、心理を読む、2)長期にわたる状況で判断する、3) 少数派の動きに中止すべき、という 3 つのポイントに留意する必要があるのではないだろうか。

「レジ・クーポン」本当の実力 メーカー主導の販促実現 日経情報ストラテジー  11 月号

食品スーパーで購入商品に応じた割引クーポンを発行する仕組みが広まっている。これは狙った客に同じ商品を繰り返しの購入や関連商品の購入を促す効果を狙ったものである。

クー ポン発行のシステム構成は以下のようなものである(本記事ではカタリナマーケティングジャパンのシステムを例とっている)。店頭においてはレジの横に小型 の専用プリンターを設置しておく。そして顧客の精算時において購買商品をキーにクーポンが発行される。クーポンの情報は店の専用パソコンから取得し、クー ポン専用のパソコンはカタリナマーケティングジャパンから情報を受け取る。クーポンの精算状況はパソコンから回線を通じて情報を取得したカタリナマーケ ティングジャパンによって行われる。そして、クーポンの発行によって発生するコストはメーカーが負担する。

なぜ、メーカーが自らコストを負担してもクーポンを発行するメリットとはいかなるものであろうか。それはクーポンが、メーカーが主体的に行えること、そして効果の測定が容易なことにある。また小売店にとっても新しい販促方法を効果的に導入できるというメリットもある。

しかし現在は認知度が低く、参加するメーカーが少ないのが現実である。例えば、クーポンを発行しているある小売店における一店あたりのクーポン発行枚数はおよそ 50 枚強、来店客の一割未満である。この小売店ではもっと効果を挙げるために、参加するメーカーの増加を期待しているという。


2003年10月

顧客接点のマネジメント ハーバード・ビジネス・レビュー 7月号

今回はハーバード・ビジネス・レビューの Feature Articles を取り上げる。CRMについてのトピックを取り上げるときに焦点となることが大きく分けて2つある。まずシステムに関するものであり、次に「顧客接点」に 関するものである。今回の特集は最新の顧客接点に関するテーマを総合的に網羅しているので,特集全体を取り上げた。

最初は今回のテーマの総括的な論文として「サービス・デリバリー・システムの革新」 (森 沢徹)から始まる。ここで中心となるテーマは「行き過ぎた合理化による(サービス業の)競争力の低下」と「真の現場中心主義を実現させることによる競争力 の向上」である。それらの具体的なケースやツールの解説は以降の「バンク・オブ・アメリカ:サービスのR&D活動」(ステファン・トムク)、「組 織は顧客のためにある」(レオナルド・L・ベリー、ニーリ・ベンダプティ)、「顧客データこそサービス向上のカギ」(ゲイリー・ラブマン)、 「RALTV:顧客リスクをヘッジする法」(ラビ・ダール、ラシ・グレイザー)の項で改めて紹介することとする。この論文を通して本特集の重要なコンセプ トは顧客接点に従事する従業員にかかるコストを従来のような固定費とみなすのではなくむしろ代替の利かない重要な資産としてマネジメントを行うことによっ て企業価値の向上を図ることにあることが示される。

その次に従業員マネジメントのケースとして「バンク・オブ・アメリカ:サービスの R&D 活動」(ステファン・トムク)、「組織は顧客のためにある」(レオナルド・L・ベリー、ニーリ・ベンダプティ)の2本の論文が来る。前者は金融サービス業 において行われた、サービスの品質を向上させるための実験をいかにして行ったかというケースである。通常、有形の商品を製造する企業の場合はその企業が扱 う商品についての様々な実験を実験室等で行う。対してサービス業ではサービスの生産と消費が同時に行われるという性質上、実験室ではなく実際の店舗で実際 にサービスを提供している従業員によって実験を行うのが最適となる。しかしながら現場のオペレーションへの影響や従業員の参加意識などコントロールすべき 要因が多いため、実現する際には慎重なマネジメントが要求される。この論文は実験をいかに行ったか、フィードバックの効果はどのようなものであったのかに ついて書かれており、「サービス業におけるR&D」についての示唆を与えてくれる。後者はある病院において医療サービスに従事する人々によるイン タービューから、最良のサービスを提供するためにいかなる従業員マネジメントを行うべきか検証している。そして結論としてエビデンス・マネジメント(企業 のメッセージをどのようにして実現させているかという証しを、いかに提示していくかについてのマネジメント)の重要性を説いている。

そして、顧客データをどれだけ有用なツールとして利用できるかという観点から「顧客データこそサービス向上のカギ」 (ゲ イリー・ラブマン)、「RALTV:顧客リスクをヘッジする法」(ラビ・ダール、ラシ・グレイザー)である。前者ではカジノのケースを基に顧客データから の重要顧客の発見、ポイントプログラムの改善、コア・コンピタンスの発見、従業員のマネジメントの改善などについて述べられている。その多くはサービス業 に固有のものであるが、多くの業種に当てはまる示唆として顧客データからの包括的なマネジメント策定の重要性が挙げられる。「RALTV:顧客リスクを ヘッジする法」は限られたリソースをいかに顧客に配分するかを決める際に参照する指標としての「RALTV(Risk Adjusted Life Time Value)」がテーマである。ここで著者は個々の顧客のリターンとリスクと全顧客のリターンとリスクの関係を、顧客ポートフォリオ(当該顧客のリターン ×顧客全体のリターンのマトリクス)で表現し、顧客ごとのリスク(顧客のキャッシュフローの変動)を加味したLTVを算出することによって顧客に対する最 適なリソースの配分を決定しようと試みている。本論文中において実証と考察はなされているが、本当に有用な顧客セグメントの指標として有用であるのか、更 なる実証研究が出てくることを期待したい。

最後に、「ポスト工業化社会のサービスモデル」 (ジェームズ・L・ヘスケット、レオナルド・A・シュレジンジャー)について取り上げる。本論文において著者は「工業社会モデル」によりなされてきたサービス業のマネジメントの弊害を挙げることで、来たるべき時代のサービスモデルの要件について述べている。

旧態のサービス・マネジメントの弊害とは

・顧客接点に配分する資源を減少させる。

・従業員を監視・管理し、業務も標準化する。

・権限を中央に集中する

・顧客接点に従事する従業員の給与はなるべく低い固定給とする。

であり、これに対するこれからの時代のサービス・マネジメントについて

・従業員への投資を重視する

・最新技術を顧客接点に従事する従業員の業務を支援するために役立てる

・顧客接点に従事する従業員の採用や研修も管理職と同様に重視する

・全階層の従業員の給与を業績と結びつける

ことが重要であると述べている。

現在の日本のファストフード業界を省みても、これらの論文が示唆している多くの教訓は現在の日本の多くのサービス産業に対しても当てはまっているように思える。サービス業においても、いや、サービス業においてこそ我々の研究すべき課題は多いのではないであろうか。


2003年7月

CRMプロセスとコスト・パフォーマンス グロービスマネジメントレビュー 2003年 春号小林知巳

CRMについてはこれまでも様々な観点から議論が重ねられてきた。それでもすべての観点から議論がなされているとはいいがたい。本論文は「顧客の声のフィードバック・メカニズムを経営に組み込む」ためにはいかなることが必要になるかという観点から論じられている。

「顧客の声のフィードバック・メカニズムを経営に組み込む」ために筆者は以下の 3つの手順を踏む必要があるとする。

1. 企業にとっての「顧客接点」を包括的に捉える

2. 顧客接点全体を視野に入れた CRMのプロセスをきめ細かくつくり込む

3. コスト・パフォーマンスをビジネスの特性に即して検証してゆく

それぞれの詳細については紙幅の都合上書ききれないので、論文を参照していただきたい。

本論文で特に目を引いたのは「顧客接点」に関する記述である。筆者は「顧客接点」はセールス担当者や店頭、顧客相談窓口などに限らず企業全体であるとする。すなわち上記のものだけでなく請求書、商品梱包など顧客とサービスとの接点全てであるとするのである。もう一つは、 CRM のコスト把握における問題に関する指摘である。筆者はコストを捉える時に「1コールあたりの人件費」というような「わかりやすい」(目に付きやすい)コス トではなく、「1オーダーあたりのCRMコスト(コールセンターの人件費、システムインフラ、物流インフラ等のCRM全体に関わるコストの総体)」のよう な、全体的な最適化を念頭に置くべきであるとしている。

本論文は CRMの運用に関して有用の示唆を与えてくれる。ぜひとも参考にしていただきたい。

ネット消費者調査の賢い活用法 日経情報ストラテジー6月号

イ ンターネットによるアンケート調査と郵送や電話による調査のそれぞれの長所・短所については様々な論議がなされている。インターネット調査に焦点を当てれ ば費用が安く、短期間で済み、調査に応じた対象者の抽出が容易である。しかしその反面、謝礼目当てに回答者が適当に答えてしまうことや競合他社に内容を知 られやすいなどの短所がある。しかし、このようなインターネット調査の特性について「いかに利用するのが効果的か」という議論はあまりなされてきていな い。本記事では、その利点を利用した調査の例が挙げられている。サントリーではブランドの勢いを時系列で見ることを目的とするためネット調査を利用した。 上記の短所を鑑みても調査期間の短さは、商品寿命の短い飲料製品には有効であるとしている。また、明治製菓では購入頻度別に分析するために調査に応じた対 象者の抽出が容易なインターネット調査を利用している。

本 記事において注目したのはいままで注目されていなかった工夫や利点である。工夫の面では明治製菓の調査が例に挙げられる。同社が用いたのは有効な回答者を 特定するため、当該商品に関するクイズによるふるいわけを行っている。利点についてはある調査について追加調査・反復調査を実施する時間的・金銭的コスト が少なくなるということである。このため反復的な調査が実行でき、詳細な分析を行うことが可能となる。

インターネット調査についてはこれからも様々な論議がなされるとおもわれる。CRMで重要な「顧客を知る」という観点から有用であると思い取り上げてみた。


2003年6月

US最新事情「無線ICタグの実用化はそこまで来ている」日経情報ストラテジー  5月号

以前も紹介した無線 ICタグに関する最新トピックである。

本記事によると米 P&G社では工場から店舗まで運ぶためのパレットに無線ICタグを埋め込む実験を実施しているという。また、2004年に医薬品、CD,高級な香水などの比較的高価な商品について無線ICタグを個別の商品につける実験の対象になりそうだともいう。

IC タグの利用に関してのトピックはCRMよりもSCMの観点から論じられることが多い。実際、現在議論の対象となっている利用法についてはSCMの観点から のものがほとんどである。しかしながら個別の商品のほとんどに無線ICタグが取り付けられるようになると、顧客の店舗内購買行動についてより詳細なデータ を収集することが可能となることも考え合わせれば、こればCRMに関するトピックであるともいえる。

ICタグの価格や国際基準の設定の問題など解決すべき問題は山積しているが、今後も注目してゆきたいトピックである。

ケーススタディ「アコム データを基にサイト刷新会話型ナビも導入し利便性向上」 日経インターネットソリューション  5月号

「インターネットはインタラクティブなメディアである」といわれる。この場合のインターネットという言葉の多くは Webサイトを意味していることが多い。具体的にはWebサイトから直接電子メールを送信でき、それに対して短時間で応答することや、検索エンジンのように入力したデータによって自動的にWebページを作成することがこれにあたる。

本記事で注目したのは会話型ナビゲーションシステム「 ACOM  Web Navi」である。これは、Webページ上に入力された自然文の質問に対して、適切な回答文で返答し、該当するページに移動するというものであ る。このシステムには形態素解析、構文解析、格文法解析等のテキストマイニングの技術が使われており、3月半ばの時点で約1万2000パターンの質問に対 応できる。

もちろん、現在ある多くの Web サイトにはサイトマップやFAQなどがあり、訪れた顧客が情報を探索することが出来るようになっている。しかし、この技術を使うことにより顧客に対して、 例えば質問からユーザーのセグメントを推定できる。そしてより目的に即したWebページを紹介するといった、さらにユーザーフレンドリーなサービスを行う ことが出来るようになる。

新しい CRMシステムを利用したサービスの形態を考える上で参考になるのではないだろうか。


2003年5月

アクセスログからマーケティング情報をつかむ 日経インターネットソリューション  4月号

一時の熱気が冷めたとはいえ、現在では電子商取引における Web サイトの利用は日常的となってきている。また、情報収集においてWebサイトを利用しない人は少ないだろう。このようにわれわれがWebサイトを利用する ことは日常茶飯事となっている。そして、Webサイトを効率的・効果的に運営してゆくうえで最近注目されているのがアクセスログデータである。

アクセスログデータとはブラウザで Web サイトを閲覧する際に、ブラウザが要求した命令をサーバーに保存したものである。主に,どのIPアドレスを持つパソコンが、いつ、どこのページを見たか、 どのような操作をしたか(検索等)がわかる。このデータを利用することにより、どのIPアドレスを持つパソコンがどのデータを、どの順番で閲覧したかがわ かる。そのほかにもどれだけの人がそのページを閲覧したか、バナー広告をどれだけの人がクリックしたかということなどもわかる。これを利用することにより リコメンド・サービスの充実が図れるようになる。

もちろん、アクセスログデータ自体はインターネット普及当時からあるものである。ただ、その利用について注目されてきたのは近年になってきてからである。 POSデータに続く顧客行動データとしてさらなる利用の発展として注目していきたい。


2003年4月

ユビキタス社会に備えよ 日経情報ストラテジー 4月号

ユ ビキタス社会とはあらゆる情報機器がインターネットなどのネットワークで結ばれた結果、場所や時間を問わずに情報を自由自在にやりとりできる社会を「ユビ キタス・ネットワーク社会」と呼ぶ。分かりやすい例としては、すべての家電製品がネットワークで結ばれ、携帯電話などで遠隔操作ができるようになるといっ た事があげられる。

そ のためどのような変化が生じてくるのかということについて本記事では以下のように予測している。ICタグの利用などにより従来得にくかった情報も容易に得 られやすくなるため、情報収集力よりも情報選択力(文中では「選択と集中」)、情報分析力が重要になる(文中:第1の変革「勝負の土俵が変わる」)。需給 の状況などについての詳細な情報がリアルタイムで取得可能になり、かつ無形の商品(チケットなど)の提供形態も変わるため販促のタイミングや商品提供の形 態も変化する(文中:第2の変革「販売機会が変わる」)。情報の流通がフレキシブルになるため、これまでそれぞれの現場で行ってきた判断についても本部か らの指示で効率よく行えるようになる(文中:第3の変革「戦略の司令塔が変わる」)。

こ れらの変化は当然CRMに専門的に携わる部署の仕事内容にも大きな変化を及ぼしてくるであろう。顧客の詳細な情報が得られることにより細やかな対応が行え るようになり、顧客にとって最もよいと考えられるタイミングで情報や商品を提供できる。また、本部からの指示・情報提供により、さらに効率的なサービスの 提供が出来る。今はまだ一般的ではないが,これからもユビキタス社会については注目していかなければならないであろう。

検証 ITの力でブランドは高まるか? ITセレクト 3月号

本 記事の構成は以下のようになっている。まず、第1段階として「なぜブランドか?」と題して他社との差別化、競争優位をもたらすものとしてのブランドに注目 する。そして、次の「ITによるブランディング」において、ブランディングを「戦略」段階から「戦術」段階へ落とし込むためにCRMやSCMなどのシステ ムが必要であるとする。そして最後に「具体策」として、ネットコミュニティーの活用を挙げている。

じ つは、本記事に書かれていることは各段階における議論において今までも言い尽くされてきていることであり、そのときに矛盾や疑問も指摘されている内容であ る。なぜ、それでも今回この記事に注目したのか。それは本記事のように段階を踏んで全体像をまとめたレポートが多く出回っていなかったからである。このよ うにまとまった形で段階を追って紹介されてみるとIT(を用いたCRM)とブランディングの関係について、改めて私なりに思うところが出てきた次第であ る。

今 現在においてもブランド、ブランディングはビジネスにおいても最も注目されている分野の一つである。しかし、本記事において気になった点が一つある。本文 中においてブランドとはすなわちブランド・エクイティ(会計上の無形資産)を指しているように見受けられる。しかし本来ブランドとブランド・エクイティ は、関連していても別の概念を指す言葉であり、特にマーケティングと会計における無形資産について同時に言及する場合は混乱しやすいので、その区別を明示 すべきであると感じた。

「ブランディング」というテーマについて、もう一度考える機会を持っても良いのではないだろうか。


2003年3月

コンビニの「カード」は客数・客単価増への切り札になるか 月間コンビニ 2月号

昨年 9月に取り上げたトピックスのさらに詳しい記事である。そのときはam-pm、ファミリーマート、ローソンのカード戦略を取り上げたが,今回はさらにミニストップのイオンカード(イオングループ共通)も加わっている。

カード戦略も各社それぞれである。例えば CRM を視野に入れるか否かであるが、ファミリーマート、ローソンは視野に入れているのに対して、am-pm、ミニストップは「囲い込むこと」を考えていない。 また、特典も各社で多様である。ファミリーマート、ローソンはポイントサービスを採用しているが、ミニストップは割引を採用している。

そのほかにも、ファミリーマートは店内端末を利用して Webサイトとポイントを連携させており、ミニストップのイオンカードはグループ共通カードであることが強みである。am-pmは他のサービスとの連携が可能なICプリペイドカードであるEdyを採用していることも注目点としてあげておく。

以上、コンビニ各社のカードの特徴を挙げた。これに加えていまだカード施策を採用していないが、IYバンクを有効利用できるセブンイレブンも気になる存在である。これからも目が離せないトピックスである。

シニアはコンビニに何を求めているか 月間コンビニ 2月号

ここで注目するのは各企業のシルバー層に向けた個々の対策ではない。現在の高齢者のコンビニの利用状態であり、その分析である。実際、 65歳以上のシルバー世代のコンビ二利用は増えており、セブンイレブンにおいてはシルバー(および団塊の世代以上の世代)に向けたTVCFを放映している。これらのシルバー層はコンビニだけでなく、その他すべての業種においてもこれから重要な顧客となる層である。

本記事によるとシルバー層の購買には主に以下のような特徴があるという。

・ 「便利なもの」にはお金を使う

・ 商品選択は質重視傾向である

・ 口コミが重要

・ 消費生活の楽しみ方を知っており、自由なライフスタイルを楽しもうとする

・ 「安全」「安心」健康」を重要視する

その他の多くの方面からも指摘されているように、これからシルバー層の市場はほぼ確実に拡大するであろう。CRMに携わるものとして考えなければならないの は本記事に指摘されている事項のほかに、コミュニケーションチャネルの問題もある。今後を考える上で重要な示唆を与えてくれる記事である。


2003年2月

戦略研究 三越 「 富裕家族 」 を攻める 日経情報ストラテジー 2月号

三越における外商の改革についての記事である。

老舗百貨店である三越においてもやはり「昔ながらの」外商は改革の対象であった。以前は社内審査を経た「お帳場客」に対する手厚いサービス(「お帳場客」が来店の際には担当者は持ち場を離れて買物に同行するなど)を行ってきた。これも言ってしまえば旧来からある CRMである。しかしながらITを導入し、組織を改める(顧客に対して一人一人が担当していたものをグループに変更する)より効率的なCRMを行えるようになった。

も ちろん、この改革は業務を効率化することのみが目的ではない。従来の「お帳場客」だけでなくその家族、そしてクレジットカードの利用額が多く顧客をも優良 顧客としている。また、ターゲットを拡大することのみならず優良顧客をセグメント化しそれぞれのタイプにあった対応を行っている(最高ランクの優良顧客は 来店時に営業担当者の対応を受けることができる)。

これらの営業を支えているのが LTASSと呼ばれている顧客情報システムである。これは顧客本人だけではなく子や孫、果てはペットまでの情報が入力されている。これらの情報の中には日頃の接客で集められたあらゆる顧客情報が蓄積されている。

CRMにおける「温故知新」の良い例として注目してみた。

レポート 1 消費者の感情をつかめ 沸き起こった瞬間にすかさず情報配信 日経情報ストラテジー 2月号

インターネットを利用していて困るのは、多くの場合ほしい情報へのアクセスの手順が煩雑な場合が多い。特にインターネット対応の携帯電話においては URLを打つことにかなり抵抗がある。逆を考えれば、その障壁を失くせばサイトへの顧客の誘導は容易になるのである。

TOKYO FMはキャンペーンで配布したICタグ入りの携帯電話用のストラップを利用し、利用者に情報を配信している。利用者は「渋谷マークシティ」などに設置され ている端末にこのストラップをかざすことで、その端末の設置場所に応じた情報やサービス(クーポンなど)を受け取ることができる。TOKYO FMはこのキャンペーンにより非接触型のICタグを利用した販促や広告のノウハウを蓄積することを目的としている。

今年開業予定の六本木ヒルズにおいても情報提供の方法として携帯電話と非接触型の ICタグの利用を予定している。こちらはICタグにボタンが付いているのが特徴だ。これは街頭ディスプレイに流れている商品の情報がほしいときにこのボタンを押すと、その商品情報がメールで配信されるといったように、メールを受け取りたいときに受け取ることができる。

ICタグを利用したものの他にも、ぴあのiアプリを利用した電子チケットの発行や、オムロンのグーパスなどが取り上げられている。

「後で・・・」と考えてそのまましなかったことがある人は少なくないであろう。「今、このとき」のニーズを捉える技術を考えるときに、これらの試みから学ぶべきものは多い。


2003年1月

ウォッチ戦略 日経情報ストラテジー  1 月号

今回は「金融サービス業の顧客管理」の事例について注目した。

三井住友カードでは 10 月 から加盟店の集客率を高め、手数料収入を増やすために、加盟店の優待情報などの販促情報を顧客にあわせてWebサイトに表示したり電子メールで配信するク レジット会員向けの新たなサービスを開始した。サイトやメールに載せたURLをクリックしたかどうかの情報を収集しその結果をデータマイニングにかけるこ とによってサービスを行う顧客属性を抽出するものである。どのような結果が得られたかは本記事には掲載されていない。

静岡銀行は顧客データベースからデモグラフィック属性や利用経歴から重要な項目を自動的に抽出する新しいデータマイニングツールを用い、カードローンの顧客としての見込み度を点数化した。そしてこの数値の上位 1 割の顧客に対してDMの発送を行ってから予測と実際の申し込み状況を比較したところ、誤差は数%の範囲で収まった。この精度自体は以前とほぼ同様であったが分析にかかる時間は 3 分の 1 に短縮された。

金融業のCRMの成功例として参考になる点は少なくないのではないだろうか。

成功の秘訣は「タイミング」 モバイルプロモーション 販促会議  1 月号

いまや携帯電話は生活に欠かせないアイテムとなっており、そのうえインターネット端末としても携帯電話利用者の約八割が利用している(本記事より 出典は総務省:平成 14 年 情報通信に関する現状報告)。政府の調査だけではなく他のさまざまの調査においても同様な結果が示唆されている(詳しくは本記事を参照のこと)。本記事は 携帯電話を中心としたモバイルプロモーションの現状について、携帯電話利用の現状、活用事例、モバイルサービス提供会社リストなどを取り上げている。

中 でも今回注目したのは活用事例である。本記事では雑誌広告を利用した読者に対してモバイルサイトの誘導を行ったカネボウ、地元のビジネスマンに対して媒体 紙、チラシで携帯でのプロモーションのモニターの募集告知を行った日本橋「一歩会」・日本総研、自社のカタログを媒体に顧客のオンライン化、オンラインの ユーザーの新規獲得を行ったニッセンの例が挙げられている。

電子メールを使ったプロモーションにおいて難しいのは新規顧客のパーミッションを獲得することである。 Spam な どはもってのほかであるが、「オプトアウト」型にしても携帯電話のメールにおいては迷惑メールとの見分けがつきにくい。パーミッションを得るということに おいて、複数のメディアの相互作用を利用し顧客を獲得する方法はこれからも注目されるだろう。これに対して本記事は何らかの示唆を与えてくれるのではない だろうか。


2002年12月

人情報の流出を阻止せよ 日経ネットビジネス  11月号

CRM に関する業務に就くものにとって顧客の個人データは切っても切れないものである。そしてこれらのデータは顧客のプライバシーにかかわるものであり外部に流 出することはあってはならない。しかし本記事によると、近年Webサイトからの流出事故が頻発しており、1000件以上の個人情報が流出したケースだけで も今年の5月25日~8月24日までの間に12件報告されているという。

本記事において、個人情報の流出を防ぐためにチェックすべきポイントとして挙げられているのは以下の 5つである。

1. 設定ミス、無知、怠慢などによる単純ミス

2. サーバートラブル時の不用意なバックアップ

3. セッション管理の不行き届きによる成りすまし

4. システム設計、プログラミング等のミス

5. ユーザー認証方式の間隙

以 上のポイントのほとんどはシステムに由来するものである。しかしシステム担当者でなくとも、顧客情報を扱う立場にある者なら注意すべき事項として必ず認識 しておかなくてはならないだろう。また、常にシステム部門と連絡を密にして迅速にこれらに事態に対処できるようにしておかねばならないだろう。

レポート 2 CRM,成否の分かれ目 日経情報ストラテジー  12月号

野村総合研究所( NRI) によって5月に行われたCRMアンケートの結果報告。本調査は従業員500人以上の企業1525社以上のCIO(情報戦略統括役員)あるいはCSO(経営 戦略担当役員)を対象にCRMシステム(営業支援ステム、コールセンター、データベース・マーケティング・システム、Webサイト、統合顧客データベー ス)についてたずねたものである。

質問内容は CRM システムの導入(検討も含む)、CRMシステム導入の効果、顧客情報の活用範囲とシステムの効果、企業風土とCRMシステムの効果などとなっている。その 上で本調査では調査対象企業を「導入しているすべてのCRMシステムで効果の出ている企業」、「CRMシステムを導入しているが、いくつかのシステムで効 果の出ていない企業」、「CRMシステムを導入していない企業」の3つのタイプに分類し、売上高経常利益率、株主資本利益率、時価総額の3つの側面から比 較している(1996~2001間での5年間の年平均増減率)。

上記の3指標の比較においては「導入しているすべての CRM システムで効果の出ている企業」は全体の平均より売上高経常利益率において4.2ポイント、株主資本利益率において1.3ポイント、時価総額において 3.8ポイント上回っている。また、CRMシステムを導入している企業の59%で何らかの効果が出ていることが報告されている.このほかにも上記にあげた 質問項目についての報告もされており、非常に興味深い調査報告である。


2002年11月

顧客情報とデジタルデータを攻めの商いに生かす THE店長会議 5号

POSデータやFSPによって得られた顧客データの分析結果を業務に生かして成功した事例の特集。業種としてはスーパーマーケット、GMS、ガソリンスタンド、家電専門店、ヘアサロンなど多岐にわたっている。 本記事はいかに結果から得られた示唆を活用することが有効か,実際のケースから明らかにすることに主眼が置かれている。データ自体の分析手法はデシル分 析、デシル推移分析、GISによるチラシ効果の分析、デシルと最終購買時のマトリクス等一般的なものが多い。また、その後に行う施策についても従来から言 われているように客層別のサービス(プレゼントなど)、特定のセグメントへのDMの配布等これも一般的に良く知られている手法である。 「データの収集、活用が重要」といわれて続けているが、その成功事例はあまり具体的に明らかにはされてこなかった。そのため、「データを集めたがどのよう に利用してよいのかわからない」、「本に書いてあるようにやってみたが効果があったのかどうか分からない」という声も多く聞かれた。この記事の様に既知の 手法で効果が挙がる事例が明らかになったことはこの研究会に携わるものとして心強い。

レポート2 食品を安全に追跡せよ 日経情報ストラテジー 11月号

消費者に対して商品の流通情報を提供することは売上げや利益の増大に直接かかわるものではないが「顧客との関係」という観点から考えた場合、重要なトピックである。 石井食品では「オープン石井」というホームページ上において、材料である牛肉や野菜の品種や原産地、アレルギー体質の人を刺激するアレルゲンの有無と言っ たデータを公開している。顧客は、石井食品の全商品についている8桁の品質補償番号と品質保持期限を「オープン石井」において入力することによりその情報 を見られる。公開される情報については納入業者からの情報を鵜呑みにせず、2ヶ月ごとに石井食品の社員自らが定期検査を行っている。また、イオンではJA 全農と共同で対面販売の牛肉のBSE検査結果通知書や出荷牛履歴証明書を見られるシステムを導入している。 商品情報の不当表示についての事件が頻発している。顧客との良好な関係を築くため行わなければならないことは増えている。その中でも「リスクマネジメント としてのCRM」すなわち情報開示による安心の醸成や、顧客との信頼関係の構築による問題発生時の悪影響の緩和などについて、もっと真剣に考えなくてはな らないのではないだろうか。


2002年10月

コンビニの会員カード戦略 収益改善へ活路開くか 日経情報ストラテジー 10月号

セブンイレブンを除くコンビニエンスストア各社の会員カード戦略の比較である。現在行われている大手コンビニの会員カードサービスは、ファミリーマートの JUPI(ユピ)カード、ローソンのローソンパス の2つである。本稿ではこれに加えam/pmにおいて採用された電子マネーであるEdy(エディ)、業界最大手のセブンイレブンの動向についても取り上げられている。

各カードサービスの特徴についての詳細は以下の通りである。 JUPI カードの特徴は「ICカードを生かしたポイントサービスの使い勝手の良さ」であり、提携に積極的であること。ローソンパスの特徴は、クレジット機能を持た ない「ローソンパスジュニア」を発行し、若年層との関係を強化し、同じグループであるローソンチケットと協力し「エンターテイメント系の強さを生かした特 典と提供すること」にあるとしている。さらにエディの特徴は、外部インフラ(開発はソニーグループのビットワレット社)の導入による顧客の取り込み、エ ディを利用した会員登録による購買履歴の収集、販促への利用となっている。

セブンイレブンについてはまだ、会員カードは導入されていない。しかし、グループのイトーヨーカ堂がアイワイ・カードサービスを通じて「アイワイカード」を導入しており、他社の動向しだいではこれを導入するものと見られている。

CRMフォーラム ケータイによる顧客密着マーケティングで新規顧客 10万人獲得に成功 日経 情報ストラテジー 10月号

6月に掲載したジーンズメイト社によるインターネット携帯電話でのクーポ ン配布の詳細である。このサービスを導入するきっかけは同社の中心顧客である若年層(20代)の新聞離れ(未購読26.7%)、それに伴うチラシの効果減 が同社の調査から明らかになったことである。そして、それまで販促の中心としてきたチラシに代わり20代の若者にアピールでき、そのうえ、双方向のやり取 りが可能で情報の検索や蓄積が容易になるメディアとして携帯電話に着目した。さらにただシステムを導入しただけではなく、利用者の利用動向に配慮し、当初 一種類であったクーポンによる割引(10,000以上で500円割引)も累進的な形(3,000円以上で500円割引、6,000円以上で1500円割 引、12,000円以上で3,000円割引)にするなどサービスも変化させている。ジーンズメイトでは以前からも会員制のサービスを行っていたが、この携 帯電話によるクーポンの配布を始めてからの新規利用者は30%以上であり、約1年半で10万人近くに達したとのことである。

CRMの成功例としては参考にすべき点が多いと思われるので今回再び取り上げた。


2002年9月

日経情報ストラテジー  9 月号 レポート1 「『買いたい』顧客を探し出す」

サブタイトルは「データマイニング最新事情」である.本論はデータマイニングによる顧客のセグメンテーションと,それを利用した効率的かつ効果的な施策を行うことの有効性を中心にまとめられている.

それに加えて,解約した顧客のデータの分析から解約率を下げることに成功した安田生命,カードメンバーのデータマイニングで DM のヒット率を向上させた三井住友カード, RFM 分析に加えてデータマイニングを行うことにより DM のコストを削減したデオデオ,カード会員のデータ解析から購入点数を伸ばしたソフマップなど,データマイニングから得られた知見を効率的かつ効果的に利用している企業の事例にも言及している.

日経情報ストラテジー  9 月号 ウォッチ US  「 CRM が CS を下げる?」

ここでいう CS とは顧客満足度のことである.このショッキングなタイトルは,「アメリカ顧客満足度インデックス( ACSI )」が 1999 年以降横ばいであり, CRM の考え方が登場し始めた 94 年~ 95 年よりも下がっているということに由来している.その理由として, CRM のシステムに従業員や組織が追いついていない事などが挙げられているが明言はしていない.しかしながら筆者は CRM が無駄であると言っているわけではない.ただ以前の CRM に反省すべき点(不十分な組織変革や人材投資など)があり,そのために CRM への投資が CS に結びつかなかったと言っているのである.

ACSI と株価の相関についても言及されており, CRM 導入の重要性と難しさを改めて考えさせられる.


2002年8月

「特集 1  顧客志向の罠」 日経情報ストラテジー 8 月号

大筋はこれまでのCRM関連の記事と同様,すなわち1)いかに利用しやすいデータベースを構築し,2)集めたデータをどのように分析し,3)分析した結果をいかに有効に活用するかという観点から書かれている.

し かしながらこの記事ではこれまでCRM実践されてきた中での失敗例も検証し,その反省も踏まえた上で「顧客志向の罠」から抜け出すための具体的な提言を 行っている.「顧客志向の罠」の例の1つとして,デシル分析に注視するあまり顧客属性からの観点を見落としてしまい,だれが重要顧客であるかを見誤ってし まうことがあげられており,「目立つ顧客ほど疑え」という提言がなされている.他にも4つの「顧客志向の罠」について挙げられており,それぞれについて提 言がなされている.

企業が CRM を効果的に実践するための重要な示唆をこの記事は与えてくれている.これからも従来の記事よりもっと詳細な検証・異なった視点からの記事を期待したい.

「特集 1  客が逃げる理由をデータで探れ」 日経ネットビジネス

サブタイトルは「『 Web 解析』で業績アップを狙う」となっており, Web サイトから得られるデータを利用して成果を挙げる方法として,ログ解析などの Web サイトの分析に着目している.

内容は2部構成になっており,第1部は「ユーザーの目的を突きとめ集客力の高いサイトに改善する」などいくつかの目的をあげ,その目的を達成した企業の Web サイトの再構築などについてのケーススタディを紹介することによって Web 解析を以下の有効に利用していくかに焦点を当てて書かれている.第 2 部はログデータの解析やパケットデータの解析など,どのようなデータをどのようなツールを用いて Web 解析をおこなうかに焦点を当てて書かれている.これから Web サイトをいかに構築してゆくか,マーケティングツールとしての Web サイトをどのように利用していけばよいのかということに関心を持ち始めた方にはお勧めの記事である.


2002年7月

どうなる個人情報保護法 あなたの会社は大丈夫? 日経情報ストラテジー7月号

昨今物議をかもしている「個人情報保護法案」について書かれている.スコミにおいてはメディア規制の面ばかりが強調されているが,現在の法案は実際CRMに携わる我々にどのような影響を及ぼすのか,どのように対処すべきであろうか.

業 種ごとに監督官庁が異なる点や罰則の規程において欠点も指摘されるこの法案であるが,早ければこの夏にも施行される可能性があるので早急に社内の組織,シ ステムを整備しなくてはならないことを指摘している.また,この記事ではこの法律が施行された場合,企業が注目すべき点として,

1. データの利用と第三者への提供が制限される

2. 情報の漏洩を防ぐための対策を立てる義務が生じること

3. 本人に対して個人情報の透明性を確保しなければならないこと

があげられている.これらに対しては社員教育の徹底,個人情報取得の際用途を明確にして本人の同意を得ることなどが対策として挙げられている.

街角 IT  ジーンズメイトの携帯メール販促 日経情報ストラテジー7月号

たった見開き2ページ,しかもそのスペースのほとんどが写真によって占められている記事である.ただし,「顧客になるべく心理的負担をかけないように顧客の情報を収集する」という観点から示唆の多い記事ではないかと思い取り上げてみた.

こ こで取り上げられているのは以下のようなサービスである.顧客の携帯電話の差込口に機器を接続,ジーンズメイトのメールアドレスをその携帯電話にアップ ロードし,そこから自動でジーンズメイトのサーバへメールを配信する.そしてその後に顧客の携帯電話へジーンズメイトのサイトへのリンクが張られたメール が配信される.そのサイトには電子クーポンが用意されており,顧客はその場でサービスを受けることができるというものである.これにより顧客がサイトを探 す手間,メールアドレス記入欄にメールアドレスを記入する手間を解消するだけでなく,入力間違いを防ぐこともできるわけである.顧客としても携帯電話さえ あれば店内でクーポンが送られて来るのでたまたま店舗に立ち寄った場合でも気軽に応じられる.

情報収集の手段として携帯電話に注目が集まる中,「このような方法もあったのか」と改めて気づかされる記事である.